【派遣法改正】退職金を上乗せする3つのパターン
4月以降の料金交渉も大詰めですね。
当社も派遣先企業から料金提示をせっつかれています(汗)
今回は、派遣先との打ち合わせで聞いた、「同業他社の上乗せパターン」を書いてみます。
もくじ
- 強気であれもこれも上乗せする「全部のせ」パターン
- 福利厚生費用として定額アップするパターン
- 転嫁なし、自社でコスト吸収するパターン
1、強気であれもこれも上乗せする「全部のせ」パターン
派遣会社の多くが「労使協定方式」を採用していると思いますが、強気の派遣会社は以下を全部のせしています。
- 退職金6%(先払い方式)
- 交通費として時間あたり72円
- 時給アップ分(一般賃金が職業分類の基準値以下の場合)
最も強気なところは350円アップという会社もありました。
派遣先担当者がこっそり教えてくれましたが、そことは3月末で契約終了するそうです。
そりゃそうだ、こんなの先方の社内稟議通らないでしょうからね。
特に退職金については、派遣先の心理として、
「なんでお宅の派遣社員の退職金をウチが負担するのよ」
「先払いして3年未満で辞めたら返金してくれるの?」
と考えるのが普通です。
全部上乗せする場合は、退職金は、〈先払い方式〉 or 〈後払い〉のどちらの方式で支払うのか説明提示するのはセットですね。
2、福利厚生費用として定額アップするパターン
最近聞いたのがこれで、「福利厚生費用」という、中身がよく分からない内容で誤魔化されている感じがしますが、事務系大手の手法という話です。
福利厚生費用の中身こうです。
派遣会社の就業規則に合わせるので、営業マンなど正社員の各種手当も均等均衡の対象となるため、定額で時間あたり100円アップを提示しているようです。
自社コストを派遣先に押し付けるという点では前述「全部のせ」パターンと同じですが、「退職金の上昇コストを煙に巻いて紛れ込ませている」ように見えるのでウマイなぁという印象を受けます。
ちなみに、 私が聞いた派遣先さんは見積もりを一度突っぱねたところ、派遣会社は50円アップで再度提示してきたそうです。
3、退職金の上乗せなし、自社でコスト吸収するパターン
派遣先との料金交渉、心理戦の末に、退職金原資の上乗せだけは見送ったパターンです。
派遣先さんも「交通費分の料金アップ」についてはある程度は腹をくくっていますが、それ以上のコストアップは「派遣を使うメリット」が無くなります。
これ以上の料金アップは【派遣利用<直接雇用強化】を招きます。
少なくとも当社の取引先はそうです。
既存派遣社員の経歴照会をしてくる不穏な動きがあれば、それは十中八九「引き抜き」のサインです(笑)
当社の場合は、逆にシェア拡大のチャンスと見て、転嫁しない方針を打ち出しています。
「退職金後払い方式」だと、3年以上自己都合退職の場合に0.8ヶ月分支給ですから、原価設定を調整すれば十分吸収できるはずです。
- 退職手当の受給に必要な最低勤続年数は、会社都合及び自己都合とともに3年。
- 退職時の勤続年数ごとの支給月数(退職事由に応じて、大卒自己都合、大卒会社都合のそれぞれの勤続年数別の支給月数に退職制度導入割合(69.8%)を掛けたもの。)
具体的な参考支給月数は以下の通りになります。
勤続年数 | 3年 | 5年 | 10年 | 15年 | 20年 | 25年 | 30年 | 33年 |
自己都合 | 0.8 | 1.3 | 2.9 | 5.0 | 7.2 | 10.1 | 12.4 | 14.0 |
会社都合 | 1.2 | 1.8 | 3.8 | 6.2 | 8.7 | 11.6 | 14.1 | 15.7 |
ただし、この方針は営業担当やコーディネーターが会社の将来性、安定性に大きな不安を感じますので、経営層は丁寧に根拠説明する必要がありますね。
まとめ
- 強気で転嫁 → 契約無くなる危険性あり
- 一部を転嫁 → 大手方式
- 転嫁なし → 攻めの方針
ほかにも派遣法改正(同一労働同一賃金)に関する記事を書いていますので参考にしてください。
それではまた!
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