【有給休暇】有給買い取りすると派遣会社も得する理由
こんにちは、バイスです!
今回は、派遣社員さんが退職する際に、合法的な方法で有給買い取りすると、派遣社員と派遣会社の両方にメリットがある理由を解説します。
本記事を読むと退職時の有給休暇に関するトラブルを防ぐことが出来ます。
もくじ
この記事を書いている私は派遣業界歴15年で、現在も営業部長として営業マンと派遣先同行もしつつ、新人教育にも力を入れています。
経験の浅い社員には、失敗事例を交えながら「同じ轍を踏まないように」防止策や解決方法を日々教えていますので、本記事は皆さんが部下や後輩を教育する際に、そのままマニュアルにできるように書きました。
1.有給残日数を調べる
担当する派遣社員さんが辞める事が決まったら、まず有給休暇の話をしましょう。
これは給与に関わる大事な問題なので、後回しにすると絶対トラブルになります。
トラブル事例は別記事で書いていますので参考にしてください。
有給休暇の残日数を調べる
まずは残っている有給休暇の日数を調べます。
自分で管理していない場合は自社の派遣管理システムで調べるか、営業アシスタントに訊けば分かると思います。
残日数が分かったら派遣社員さんに伝えて、いつ有給消化するか決めましょう。
もちろん派遣先にも納得してもらう必要がありますので、ここでは希望日というニュアンスです。
有給消化のパターンはいくつかありますので、次のパートでご紹介します。
2.有給消化のパターンは4つ
それでは、現実的な有給消化のパターンを見ていきましょう。
飛び飛びで有給消化するパターン
週に1日、2日と有給消化しながら退職日を迎えるパターンです。
このような有給消化を希望する派遣社員さんは、次の仕事がまだ見つかっていない場合が多く、面接やハローワークに行くために休みが欲しいという理由をよく聞きます。
注意点としては、有給休暇は所定労働日にしか充てられません。
例えば土日祝休みの場合、休日に有給を充てると連続してずっと勤務している事と同じなので、休日出勤割増が発生しますから、普通は会社が認めません。
退職間際にまとめて有給消化するパターン
最も一般的なのが、このパターンではないでしょうか。
退職日や契約期間満了日から逆算して所定労働日に有給を充てていくと最終出勤日が分かります。
たくさん有給が残っている場合は「実勤務日数が数日しかない・・・」となってしまいます。
派遣先からすると「いつまで働いてくれるか?」が重要ですから、業務引き継ぎや後任配属するために必要な期間が確保されていない場合は、退職日を後ろにずらすことも選択肢として考えておきましょう。
私の場合は、退職申し出があったら、その日から1ヶ月間は働いてもらうように促して、その後に有給消化のために契約期間を延長して対処します。
会社側の時季変更権を主張して強制的に有給取得日を後ろにずらす事も出来ますが、厳密に言うと時季変更権を行使できる要件はかなり限定されています。
何よりも感情論で対立してしまい、折角良好だった関係も最後の最後にギクシャクしてしまいます(汗)
派遣社員にも有給休暇を取る権利があるので、強要することは出来ませんから、あくまで「促す」または「理解を求める」というスタンスが大事ですね。
残っている有給休暇を異動先に持ち越す
これは、そもそも有給消化ではありませんが、一応ご説明を。。。
あなたの派遣会社を辞めるのではなく、他の派遣先に「異動」する場合は、引き続き有給休暇は派遣社員さんの権利として存続します。
もし、消滅する!?と会社が言っているようなら、あなたが転職活動を始めたほうが良いかもです(笑)
有給休暇を買い取りする【←これが今回のポイント】
有給休暇を取らせずに買い取ることは違法です。
しかし、取り切らなかった有給休暇を買い取ることは認められています。(ただし、会社に買い取る義務がある訳ではありません)
まず、派遣社員さんに「休みを取りたい理由」を訊いてみましょう。「休みたい訳ではなく、有給を無駄にしたくないから」と答える人が相当数いるはずです。
この場合は有給休暇の買い取りを提案してみましょう。
前提条件
- 有給消化として有給休暇を取ることも可能
- 有給休暇買い取りもOK
この選択肢を示して、あくまでも決めるのは派遣社員さん本人という説明の仕方です。
3.有給休暇買い取りのメリット
さて、本記事の本題でもありますが、有給休暇買い取りのメリットを解説します。
下記のケースでは、派遣会社は有給買い取りしたほうがコスト削減になります。
退職日が次の有給付与日に到達する場合
退職を引き伸ばしたり、有給消化を後回しにして次の有給付与日がやってきて、更に有給残日数が増えてしまう場合は、買い取って退職日を早めましょう。
《例示1の前提》
- 2020年1月1日入社
- 初回有給付与日は2020年7月1日→有給休暇10日付与された
- 2回目の有給付与日は一年後の2021年7月1日→有給休暇11日付与される予定
ちょっとズルい考えですが、この例の場合、2021年7月1日になると有給残日数が余計に増えてしまうのでの派遣会社としては痛いコストです。
逆に、エンジェル営業担当なら「7月1日まで頑張りな!そうすれば有給増えて得するから!」と教えてあげるのも個人的にはアリだと思います😉
退職日が月末日に到達する場合
有給残日数が概ね20日以上ある派遣社員の場合は、有給消化期間が約1ヶ月あるので、買い取ってしまったほうが会社負担の健康保険料などが削減できます。
これは、健康保険料と厚生年金が月末日に在職している場合に徴収されるからです。逆に言うと極端な例えではありますが、月末の1日前に退職すると会社は丸々1ヶ月分コストダウンになります。
《例示2の前提》
- 有給休暇が23日残っている場合
さらに、【例示2】では、有給買い取りすることで最後まで稼働してくれるので、派遣社員さんは通常勤務分に有給買い取り分が上乗せして支給されるので給与が増える。
派遣会社についても、どうせ有給分の給与は支払うのであれば、最後まで稼働してくれたほうが売上が増えます(=利益も増える)
これって、派遣先、派遣社員、派遣会社がwin-win-winになるので、絶対取り入れるべきだと思いませんか!?
まとめ
有給休暇による支払い給与は、予め原価として計上しているはずです。
だから、全額で有給買い取りしても、有給消化しても適正利益は得られます。
むしろ、「あの派遣会社は有給をしっかり取らせてくれる!」という口コミで会社の評判が高まって、稼働スタッフの定着率も上がります。
さらに、2年間で消滅する有給休暇も買い取ってあげることが出来れば、無理に有給を取ることが無くなるので稼働率が上がって派遣先にもメリットがあります。
もし、この記事の中にあなたの会社に無いルールがあったなら、一度上司に提案してみては如何ですか?
上司は改善提案してくる部下のことは高く評価します。きっとあなた自身の成長にもなると思いますよ!
では今回はこのへんで!
《関連記事》
派遣法改正で、契約期間が4月1日をまたいでいると、どうなるか?